構造化プロジェクトマネジメント(SPM) ケーススタディ - Step 10 -

プライズ - ポストモーテム(Step 10)

ステップ10はプロジェクトの終了です。無事犬小屋が完成しました。シロは新しい住処を気に入ってくれたでしょうか。プロジェクトで計画されていたすべてのタスクが終了し、皆ほっとしています。シロが真新しい犬小屋の中で寝ている姿を見て、プロジェクト発足当時に思い描いたゴールの姿がまさに目の前に現実として存在していることを感じると、うれしくなりますね。
今日はお祝いです。シロも一緒にごはんが食べられるように、犬小屋の前に食事を運んでの夕食が始まりました。

プロジェクトが完了したら、皆で盛大に祝いましょう。途中にいろいろと苦労があったとしても、最初と最後がぴったり合えばそんなことも忘れてしまいそうです。

いつもよりビールの進みが早い家族団らんの中、あなたはピカピカのシロの小屋を見ながら今までのことをふと思い出します。材料の買い出しは、後で足りないものがあって二度行くはめになったので予定より長くかかったこと、今回は天気がよかったからいいものの、もし雨が降ったらこの計画は挽回不可能になる可能性もあったことなど。

プロジェクトマネージャは、プロジェクトが終わってもまだひと仕事残っています。計画の各タスクが予想とどれだけ違ったのか、実際にやってみてどのような点が足りなかったのか、などなど。

メンバーはそのような作業はまずやりませんので、プロジェクトマネージャが精密に、まだ記憶が新しいうちにきちんと記録しておく必要があります。具体的には、次のような点を手早くまとめておきましょう。

  • 計画に沿ってうまくできたこと
  • 計画どおりにはいかなかったこと
  • 計画に含まれていなかったこと

そして、計画と実績値の対応表を作り、保存しておきます。

こういった経験を入れた引出しをたくさんもつことにより、次のプロジェクトを計画する時に、同じようなタスクの予測精度を上げることができます。このようなミクロな作業は、プロジェクトの表面には現れてこないもので、しかもそういった作業をやらなくてもプロジェクトは動きます。プロジェクトを動かす力があれば、プロジェクトはまわります。その場その場で臨機応変に対応ができれば、計画の不備を挽回することもできるでしょう。

しかし、今の時代は特に、力で押しまくるのではなく、スマートにプロジェクトを成功させ、次のプロジェクトはより少ないコストでよりスマートに成功させるという、高い生産性を背景にした継続の力が求められるのではないでしょうか.

(終わり)