構造化プロジェクトマネジメント(SPM) ケーススタディ - Step 7 -

何が起きているかを知る(Step 7)

ステップ7はそれに続くステップ8と対になっています。ステップ7がプロジェクトの状況を知ること、ステップ8はプロジェクトマネージャが理解した状況を人々、すなわちステークホルダーに伝えることです。それではまず最初にプロジェクトの状況を見ていくことにしましょう。

SPM流状況把握の最初のアクションは、プロジェクト計画を目の前に置くことです。それはWBSあるいはガントチャートとして表現されていることが多いでしょう。プロジェクト計画には3つの目的がありますが、プロジェクトが遂行されつつある今の段階では最初の2つの目的はほぼ達成されているはずで、ここでは3つ目の目的を果たすことになります。プロジェクト計画の3つ目の目的とは、「プロジェクトをドライブしていく際に状況把握ツールとして使う」ということです。具体的に見ていきましょう。
たとえば今日が9月11日の金曜日だとします。このプロジェクトは土日もお休みではなく、むしろ土日に作業が多いので、金曜日にも明日のことを心配しなければなりません。そこでまずガントチャートを見てみましょう。
Step7-gantt.png
まずは今日までの状況を確認します。今日は重要な確認作業がありました。小屋の全体デザインのウィンコンディションをチェックするというものです。設計が正しくできているかということですが、これはまあ皆の合意を得たということにしましょう。

次に明日のアクションですが、いろいろありますね、「板取りを考える」から始まって7つもあります。これをひとつひとつ、実際の担当者から確認します。具体的には、その仕事は予定どおりに始まるか、予定どおりに終わるか、ということです。

このようにして毎日、すでに起きているべきことに関してはすべて、未来のことはまず明日に起こるべきことを計画をものさし、ガイドラインとして確認していきます。確認の際の観点は、状況が次の3種類のうちのどれかを知ることです。
・計画どおり
・遅れているが取り戻せる
・取り戻せない遅れがある
重要なことは、この確認を未来について行なうこと、つまり明日起こるべきことについてプロジェクトマネージャは必ず把握しておくことです。

これは、話としては簡単なのですが、実際にやるとなるとそれほど容易なことではないと想像できます。そこでSPM流のツールをご紹介しておきます。「ストリップボード(The Strip Board)」と言います。
これは、映画製作で使われる、撮影の各シーンを時間に沿って情景描写するための縦長の細長いシートをプロジェクトマネジメントに応用したものです。どういうタイミングでどのキャストが何をやるかを書きます。先に挙げたガントチャートから作ったストリップボードが次のものです。
Step7-stripboard.png
どうでしょう? 9月12日の土曜日に誰が何をやるか、一目瞭然でしょう。

ステップ7のPSI

ステップ7のPSI評価点も10点満点で評価します。チェックポイントは大きく分けて2つ。プロジェクトの進捗を毎日きちんと把握できているかという点と、把握した状況が計画どおりあるいは挽回可能な状況かどうかという点です。
Step 7=9
先に挙げた第2週目の状況では、状況の把握はできており、進捗も計画どおりですから満点をつけてもいいかもしれません。ただし、今回の例はそれでも問題ないでしょうが、SPMの観点からすると計画がまだ粗いのでその分だけ状況の把握もおおざっぱになっているので、1点減点して9点としておきます。

当然ながら、プロジェクトの進行に伴って状況が悪化したり、プロジェクトマネージャが日々の状況把握を十分にできなくなったりすれば、この点数が下がってしまう場合があります。